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代表あいさつ
パソコン・スマホ・タブレット端末の急速な普及により、人間社会と紙の関わり方に変化の兆しが見られ始めた2014年末和紙が世界無形文化遺産に登録されました。日本の和紙の中でも、原料に国産の”雁皮”を使用し、日本独特の製法とされる”流し漉き”により抄造された”雁皮紙(がんぴし)”は、特有の優美さを見せ、その平滑と光沢は”紙の王様”と言わしむるまでの輝きを持っております。IT化やグローバル化の時代における和紙の文化遺産登録は、何故か紙問屋のあり方を見直す契機になりました。というのも、我々紙問屋業界を取り巻く環境は、”紙は文化のバロメーター”と言われた時代を経て、”ペーパーレス社会””問屋不要論”等、色々取り沙汰されては消えていくという歴史を繰り返して来ました。
わが社は、紙の卸問屋として祖父が独立創業し、昭和30年代からはプラスチック包装フィルムも取り扱うようになり、お取引先様に支えられ創業以来80有余年、今日という日を迎えられております。卸問屋は、自社の設備や工場を持って何かを作り出している訳ではありません。
人が物をトレードする事を基本としているので、技術や専門性で存在感を示す事はできません。情報を集め、組み合わせて提案し、ネットワークを通じて商売を繋ぎ合わせ、自分達で商品を育てていくこと等が商売の基になっております。
戦前から存在する紙の卸問屋が「丁稚奉公」で小僧さんを一人前に育てていくという歴史は、そこからきているのかもしれません。人件費はコストじゃない、問屋営業の資源だという感覚があるのです。この感覚は、西洋伝来の木材パルプによる効率重視の大量生産によって生まれてくる”洋紙”とは異にする、”和紙”の文化に通ずる、時間をかけて醸成された底力といったものがあると感じるのです。グローバル化は利便性を追求することから起こり、文化は利便性とか効率性とは相いれない側面を持ちます。それはグローバル化とは違う、安心感だったり、ユニークさや面白さを楽しめる価値観を持てる事ではないでしょうか。永年支えて戴いているお取引先様から「助かったよ」「頼りになるね」と言われる一言を大切に、暖簾・信用・信頼というものを伝承することで、お取引先の皆様の気持ちを繋ぎ、文化を育んでいく。紙ってこんなにいいものなんだと伝えるために・・・そういう会社であり続けたいと思う3代目でございます。
代表取締役社長 平岡 直樹
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